人が購買決定時に飛び越える、2つのハードル
2018年05月1日

マレーシアのコタキナバルに行きたいとか、年収これだけ欲しいとか…
ビジョンボードに「ダイヤのリング」や「縁側のある家」の写真を貼り、企業理念のテーマとはかけ離れた、欲望の塊を作ってしまった私ですが、「欲しいけど、実際買えないよね~」と頭のどこかで思ってしまっているので、毎日眺めて脳をだまそうと思っています。
目次
購買決定するまでの大きな2つのハードル
消費者が商品に興味を持ってから購買を決定するまでの心理的なプロセス(購買意思決定プロセス)を表したモデルには、AIDMA(アイドマ)・AISAS(アイサス)など、色々なものがありますが、今回はもっとシンプルなお話です。
購買意思決定プロセスを考える前に、「欲しいけど、実際買えないよね~」と思っている消費者に、越えてもらわなくてはならない2つのハードルとは何でしょうか?
1つ目は心理的なハードル
まずは、その商品やサービスを「欲しい」と思ってもらえるかどうか?という心理的なハードルです。
STEP1.単純に商品に魅力があるか?
可愛い・カッコいい・キレイ・楽しそう・面白そう・便利そうなど、人は必要ではない物も魅力を感じてしまうと「欲しい!」と思ってしまいます。
足が二本しかないのにスニーカーを何百足もコレクションしてしまったり、同じようなデザインのワンピースを持っているのにまた買ってしまったり…。
商品自体に魅力がないのであれば、まず商品やサービスを見直すことから始めましょう。
商品はすばらしいのに、何故か売れない…という方は次のステップへ。
(商品に魅力がなくても、切り口や見せ方を変えることで「欲しい」と思って貰えることもあるので、そういう方も次のステップへ)
STEP2.買ってもらう理由を作る!
もともと「買いたい」という欲望がないからといって、あきらめてはいけません。
潜在的なニーズに働きかけて、買って貰う理由を作りましょう!
夏に売れない鰻を売るために「土用の丑の日」を作った平賀源内
日本初のコピーライターと言われている江戸時代に活躍した平賀源内のエピソードです。
鰻屋さんが夏場に鰻の蒲焼きが売れないので、困って相談に来ました。
(鰻の旬は脂の乗った秋~冬なのと、味がこってりしているため夏は売れなかったのです。)
源内は「本日土用丑の日」と看板を書いて、「丑の日に”う”の付く食べ物を食べると縁起が良い!鰻は精が付くから夏を乗り切るのに最適!」と宣伝させると鰻屋さんは大繁盛!
そして、”土用の丑の日に鰻を食べる”という風習が広まったと言われています。
夏バテを解消したいというニーズと鰻を結び付けて、食べてもらう理由を生み出したんですね。
リステリンが作り出した「口臭予防」という概念
日本でもマウスウォッシュ(洗口液)として売られているリステリンですが、実はもともとは消毒液でした。
しかし、1920年代にとある広告を出すと10万ドルだった売上げは一気に4倍の40万ドルに!
7年後には80倍の800万ドルを超えました。
いったい何をしたかというと、古い医学用語であるハリトーシス(口臭病)という言葉を探し出してきて「ハリトーシス(口臭病)のせいで出会いが逃げる!」と広告したのです。
当時、口臭を意識する人はあまりいなかったのですが、広告を見た人は「口臭って病気なの?治さないといけないんだ!」と不安を掻き立てられ、リステリンを買う動機付けになったのです。
同じような手法に「加齢臭」があります。
「加齢臭」は化粧品会社の資生堂が発見した匂い成分に名付けた言葉で、名付けられる前は意識していなかったのに、名付けられることで意識する人が増えて、加齢臭予防・対策商品が売れるようになったのです。
初詣もお中元もお歳暮も!すべて仕掛けられた伝統
日本人のほとんどが、「初詣は日本の伝統」「お歳暮は古くからの習わし」と思っているのではないでしょうか?
実はすべて明治30年くらいに、鉄道会社や百貨店の宣伝のために作られたものなんです。
「初詣」は、鉄道会社の集客のために作られました。
昔から「恵方参り」という習慣はあったそうなのですが、恵方の方角は毎年変わるため安定して集客できないので、方角に関係なく神社に行く「初詣」という新しい習慣を作り出して、鉄道を使ってもらおうという魂胆でした。
「お歳暮」は、三越百貨店のが売上げアップのために作り、広められました。
お中元は道教が起源で室町時代に中国から日本に伝わり、お盆のお供えの習慣と融合して江戸時代には、お世話になった人に贈り物をするようになったそうです。
ところが、日本初の百貨店三越が「お中元」に便乗して年末にもお世話になった人に贈り物をしようと「お歳暮」という言葉を作りました。
「お歳暮」は単に「年の暮れ」という意味で、道教の「中元の日」に由来する「お中元」とは違い、何の由来も起源もなく、百貨店が売上げのために作り出した言葉なのでした。
仕掛けられた伝統とは…恐ろしい…。最近だと「恵方巻き」がそれに当たりますね。
STEP3.切り口や見せ方を変える!
商品自体に魅力がない場合、なかなか強引な手法ではありますが「切り口」や「見せ方」を買えるという方法があります。
とんでもなくまずいジュースが飛ぶように売れた!?
サブカル本や雑貨を扱うお店、ヴィレッジヴァンガードでのエピソードです。
仕入れたジュースがまずくて、大量に在庫を抱えることになってしまいました。
知恵を絞って「まずい!罰ゲーム用」とPOPを付けたところ、面白がって買う人が増えて飛ぶように売れたそうです。
「まずい」というデメリットをメリットに転換させた成功例ですね。
傷モノ商品を定価で売る方法!?
とあるお店で店員さんが猫の形の貯金箱を落としてしまい、耳が欠けてしまいました。
普通なら欠けてしまった商品は傷モノ商品ですので処分するか、大幅値引きして「訳あり商品」として売るでしょう。
ところが、店長はある方法を使って傷モノ商品を定価で売ってしまったのです。
(しかも、お客様は大満足!)
それは、POPに秘密がありました。
「私は猫です。3月3日のひな祭りの日に交通事故に遭いました。痛い~。
右の耳を少し怪我しましたが、おかげさまで元気になりました。
こんな私ですが、かわいがってくれる飼い主さんを探しています。
おっちょこちょいですが、冗談のわかる猫です。
私のお友だちになってほしいのです。」
と、POPには書かれていました。
すると「子どもが交通事故でケガをしてしまい、何だかこの猫が他人とは思えなくて」と喜んで買ってくれるお客様が現れたのです。
POPがなければただの傷モノ商品ですが、POPがあることで耳が欠けていることに価値を見つけて貰えたのです。
見せ方を変えてエピソードやストーリーを伝えることで、マイナスの価値をプラスに転換させるという事例です。
スーパーより高いビールが売れる酒屋さんの謎
売られているのは、全く同じビール。
スーパーマーケットでは定価より安く売られているのに、定価で売っているビールがどんどん売れるという不思議な酒屋さんがあります。
酒屋の店主さんは定期的にお客さんにニュースレターを発行して、お酒の知識を伝えるだけでなく、プライベートな話題(子供の誕生など)も書いて配っています。
決して売り込みではなく、コミュニケーションの一環としてやっているのです。
なので、お客さんもやってくると「お子さん元気?」と話しかけてくれ、会話が弾みます。
コミュニケーションを通じてファンが増えてくると、「この店以外ではお酒は買わない」というロイヤリティの高いお客さんが出てきます。
そういうお客さんは、「店主さんから買ったビールの方が美味しく感じる」と言って、スーパーより高いビールを買っていってくれるのです。
商品自体ではなく、商品に付随する別の魅力があることで
「他の誰でもなく、あなたから買いたい」
と思って貰えるとは、まさにプライスレス!
他と差別化できる付加価値を与えることが大切なんですね。
2つ目は物理的なハードル
さて、「欲しいと思ってもらう」という1つ目のハードルを越えても、次には「買いたくても買えない」という物理的なハードルが待ち構えています。
STEP1.お金の問題をクリアする!
何と言っても一番大きな問題は「お金」
欲しくてもお金がなければ買えません。
じゃあ、お金がなくても買える方法を考えたらお金の問題はクリアです!
ZOZOTOWNのツケ払い
STEP2.家族の反対を賛成に変える、説得材料を準備する!
実は意外と多いのが「妻の反対」や「夫が嫌がるから」など、家族の問題。
STEP3.「物を増やしたくない」なら、「断捨離」させてしまえ!
「同じようなの持ってるし…」
「これ以上、物を増やしたくない…」
「今使っている物が壊れるまで待とう…」
必要最小限の物しか持たない、ミニマリストなんていう究極のライフスタイルを送っている人もいるくらいです。
買いたくても物理的に置くスペースがないとか、収納が満タンとか、既に持っているからとか、